「沈黙の艦隊」でお馴染み、かわぐちかいじの「ジパング」13巻です。
このお話、簡単に言いますと、自衛隊の最新鋭巡洋艦が第二次世界大戦の真っ只中にタイムスリップしてしまうという内容で「戦国自衛隊」の近代版といった感じです(ちょっと違う~)。
日本側について無敵の戦力でもってアメリカ軍をバッタバッタと!・・・という話ではありません。どちらにも付かず、あくまで「専守防衛」を守ろうとし、戦艦大和に対しても牙をむこうとまでします。
この巻ではありませんが、主人公が放った言葉が心に刺さります。
「俺たちに肌の白い黄色いはないんだよ。流す血は全て赤いんだ。」(←うろ憶え)
ですが、何やら最近はどうもかなり日本軍に傾倒してきています(^^;)。この巻でも撤退を成功させるためとはいえ、米軍の飛行場に奇襲をかけて全滅させたりする作戦に参加したりしてます。さすがに作者も戦闘をせずに回避するネタに詰まってきましたかねぇ(^^;)。
この話のもう一本の柱が「核」の存在です。「沈黙の艦隊」でもそうでしたが、どうやら作者さんは「抑止力としての核」の存在には賛成のようです。
今回は、アメリカより先に日本が核を持つ事により、早期講和に持ち込もうとするもう一人の主人公が存在します。彼は帝国軍人なのですが、未来の日本を知り、その戦後日本に絶望します。そして屈辱と妥協に満ちた戦後ではなく、日本人として誇りと尊厳を保った新しい戦後を模索した結果、前の結論に至ります。
「沈黙の艦隊」でもそうでしたが「日本の戦後とは何であったのか、そしてこれからどういう姿勢を持って進んでいくべきか」を漫画の想像力でもってリアルにシミュレートしてみせようとする作者さんの毎回のテンションの高さには脱帽します。(決して軍事力という物を積極的に肯定する訳ではありません)
欺瞞に満ちた言葉でもって、積極的に自衛隊が海外派兵(≠派遣)されようとする昨今、まだまだ予断を許さない展開を見せてくれそうで目が離せません。
コメントする