「イニシエーション」って、某宗教のおけがで変なイメージのある言葉ですが、和訳すると「通過儀礼」って意味ですね。wikipediaを引用すると「出生、成人、結婚、死などの人間が成長していく過程で、次なる段階の期間に新しい意味を付与する儀礼」との事で、この本の中では、その時は絶対だと思っていた事柄も、長い人生の中での成長の通過点・ヒトツの経験値でしか無い事があるという説明になっています。
という訳で(?)管理人は漫画以外に活字も同じくらい読む人なのですが(最近は両方とも激減中ですけど)、超久しぶりに面白い本に当たったのでご紹介。活字の事を書くなんて、もう5年以上このブログをやってて[殺戮にいたる病]以来まだ2回目。どんだけハズレを引いとんかって話なのですが(^_^;)。
乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
もう何年か前に話題になったのですが、文庫本になってから読もうと思っていたところ、すっかり忘れてしまっており、この前本屋で見かけて「あー!これこれ!」と即買いしました。曰く「最後の二行で物語が全く変わってしまう」というのがウリです。
さて、内容をかいつまんで紹介しますと、だいたいこんな感じ。
80年代、舞台は真夏の静岡。大学4回生の鈴木君(以下たっくん)は数学科に通う、真面目でどっちかというとモテない系設定の学生さんなのですが、人数合わせのために初めて参加した合コンで、この春に専門学校を卒業して歯科衛生士になったばかりの成岡さん(以下マユちゃん)からモーションを受け、皆で海へ行ったりテニスをしたりするうちに付き合うようになり、二人でクリスマスイブをむかえるところで一部が終了。
春、既に東京の会社に内定を貰っていたたっくんは、マユちゃんのためにそれを蹴って静岡の会社に就職するも、新入社員研修後に出世コースである東京の親会社への出向が決まってしまい、それでも頑張って毎週末のように下道を車で往復する遠距離恋愛を続けますが、夏・秋、と経つにつれて、やはり徐々に心が離れてしまい、東京に新しい彼女が出来て・・・さあどうするの、というところで二部が終了。
えーっと、以上で物語の95%の説明を終えました(笑)。
おひれはひれはありますが、言い方が悪いですけど「たったコレこれだけの話」です。
途中、「指輪を失くしたり財布を失くしたり、アレは何かのネタふりなのかな」とか、「富士通はドコ行った」とか「ホンダ シティはどこから湧いた」とか、「N5200ワークステーションとはまた古い機械が出てきたな」とか、「残り数ページで出てきた、新しい彼女のお姉さんは何者?」とか思いながら、でも伏線(と勝手に思っている事)を回収するだけのページが物理的に残ってないし、まさかこのまま終わるんかいな、と心配しつつ、最後の二ページ目辺りまで来て、「男女七人秋物語とは懐かしいな、エスカレータで手を振って別れたのは夏だったっけ、秋だったっけ・・・あれ?」と思っているうちに、くだんの最後の二行に到達。
それまで蓄積されてきたモヤモヤが全部押し流されてしまいました。。。
こういう言い方をするとマユちゃんがちょっとかわいそうなんですが、こんだけ生ぬるい恋愛話をダラダラ続けてきて最後がコレとは・・・あまりに切な過ぎます(^_^;)。
意外な結末を試してみたいという方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
学生の頃のあの純粋な心に戻って(笑)、頭の中を真っ白にして読んで頂ければと思います。
とは言え「そんなモン面倒で読んでられっか」という方のために、ネタバレを書いておきます。
マウスで反転してみて下さい。
なお、「ちょっとこの本、読んでみようかな」と思う方は、ココから以下は絶対に見ないで下さい。
コレは、実は恋愛小説でも何でもなくてトリック小説です。
一部と二部は一見縦に連続しているようで、実際の時間軸は
春 夏 秋 冬
①部 --------→
②部 ---------→
となっており、たっくん①と、たっくん②は全く別人物。
線がオーバーラップしている期間、二股をかけていたのは実はマユちゃんだったというオチです。
しかも、マユちゃんは、4人いる合コンメンバーの中から、わざわざ「たっくん」と呼べそうな人をターゲットとしているふしがあり、現にたっくん②が間違って無言電話をかけてしまった時でも、マユちゃんは「もしもし?たっくん?」と、二股の発覚を見事に阻止できています。最後、マユちゃんの事を東京の彼女の名前で呼んでしまったために破局の引き金を引いてしまった、たっくん②とは対照的です。
そう、「切ない」のは最後に捨てられた形になっているマユちゃんではなくて、そんな事情は露知らず、初めて(しかも限りなく理想に近い)彼女が出来たと舞い上がっているたっくん①なのです(^_^;)。最後、たっくん②がマユちゃんとの恋愛を「イニシエーション・ラブ」であった事を述懐しますが、遠くない将来、たっくん①も逆の意味でそう思い知らされる事を予感させる切ない物語でした。
実際は、文字の色を背景の色と同じにする事で見えなくしてるだけの事なんですけどね(^^;)。
マウスで反転・・・て何?て意味判らんかった。
でぇ、右クリックで「LiveSerchで翻訳」で表示させて読んだ。
でも、ダーリンにやり方教えて貰ってビックリしたぁ。
すんげー!面白いね。
あ、先に読まれてましたか(^^;)。
実際は2行ではなく2頁でしたが、たまーにこういう面白い本に当たると嬉しいですね。
2/28のmixiの日記に書いたけど、たった2行でした。
出張帰りの新幹線で年表つけながら2回目読みました(笑)