ヨーロッパ車ほど、はまっている人と興味がない人との温度差が激しい趣味はないと言えるでしょう。
前回でも触れましたが、はまっている人の中には、「ヨーロッパ車の素晴らしさをもっと広く伝えなければ!」という使命感を抱いて、ことあるごとに啓蒙活動に励もうとする“信者”が少なくありません。
その博愛の気持ちは尊いといえば尊いのですが、勧められる側がさほどヨーロッパ車に興味がない場合は、どう対処していいのか困ります。今日も全国各地で、ヨーロッパ車信者の熱い勧誘を受けて、勧められる側が苦笑いを浮かべているという構図が繰り広げられていることでしょう。
ヨーロッパ車に乗っていない側のあなたが、そういう災難にあったときはどう対処すればいいのか。信者の勧誘に対する平和で適当なかわし方を考えてみましょう。
「ヨーロッパ車様」を否定するのは危険
程度の差こそあれ、ヨーロッパ車を熱く勧めたがる信者のみなさんは、「ヨーロッパ車によってもたらされるドライビングプレジャー(笑)」を信じ、そんなヨーロッパ車に人より早く乗っている事に、ちょっぴり優越感を抱いていると言えるでしょう。どう見ても熱が入りすぎている人の中には、ヨーロッパ車に過大な望みを託して、いまいち不本意な現状から自分を救い出してくれる救世主のように見ているように思えるケースもあります。
いや、あくまで極端な例をあげているだけなので、「俺は違う!」とムキにならないでください。もちろん、私の周囲のヨーロッパ車好きのみなさんに対して、私がそういう目を向けているわけでもありません。
今後の人間関係を考慮した言い訳で話がそれましたが、ヨーロッパ車を熱く勧めてくる人にとって、ヨーロッパ車にはまっていることが誇りであることは確か。何はさておき、そこを見逃さないようにしましょう。
たとえば、最近ヨーロッパ車にはまっている同僚に、「お前も乗ったほうがいいよ」と熱心に勧められたとします。楽しさを説かれても、いまいちピンと来ないからといって、
「うーん、よくわかんないなあ。みんなが競い合うように車高を落としてるのって、なんか気持ち悪い世界のようにも思えるけど」
「そのオフ会っていうのに行っても、自分の車が注目される保証はないし、知り合いのドレスアップを見逃す可能性も高いわけでしょ。なんか失礼だよね」
などと、偉大なる「ヨーロッパ車様」の楽しみ方を否定する言い方をしてしまうのは危険すぎます。
ムキになってさらに熱く語ってくるぐらいならまだしも、「ハァ~」と深いため息をつきながら、救いがたい愚か者を見るような目を向けてくるかもしれません。
まあ、わかり合えなくてもべつにいいといえばいいんですけど、お互い、相手に悪い感情を抱くきっかけになるのは避けたいところです。向こうだって、今の時期たまたまヨーロッパ車にはまっているだけで、けっして悪気があるわけじゃないし、人間として何かを失ってしまったわけでもありません。
一生懸命にヨーロッパ車の魅力を語ってくれたら、たとえピンと来なくても、
「なるほど、排気量を落として過給機でパワーと燃費をかせぐというのも、ユニークな考え方だね」
と、独自性に衝撃を受けたかのような反応をしておくのが、大人の包容力であり相手をそれなりに満足させるマナーです。
そういうふうに言えば喜ぶのはわかっていても、まるでその相手までホメるみたいで抵抗がある場合は、質問に逃げましょう。
「ところで、アメリカ車とかとはどう違うの?」
と、ライバルの名前を持ち出してきて、ヨーロッパ車の優位性をさらに語らせるもよし、
「なんか車検のたびに、税金とか検査費以外に何十万も払わないといけないんでしょう?」
そんな歪んだ先入観丸出しの誤解をわざとぶつけて、ひとしきり説明させるもよし。
いずれにせよ、どうでもいいと思っている気持ちを覆い隠したまま、相手にそれなりの満足を覚えてもらうことができます。
はまりっぷりを批判するのはもっと危険
まったくヨーロッパ車に乗った事が無い訳ではなく、ちょっと前にイタ車に乗ったけども、故障が多くて国産車に戻ったというケースも、けっこう多そうです。
そういう状態にあるあなたに、はまっている同僚が例によって熱い口調で、
「まずは、いろんなオフ会に出て他の人の車を見てみると、面白さがわかるよ」
「誰の車でもいいからどんどん適当に褒めちぎるってると、そのうち反応が返ってきて楽しくなるよ」
とヨーロッパ車教、じゃなかった、オフ会界における定番の説得フレーズを説いてきたとします。「ほお、そういうもんなんだ。今度行ってみるよ」と適当に納得しておくのはいいとして、つい勢いで、
「しかし、ずっぽりはまってるねー。ヨーロッパ車の話をするときは生き生きしてるし」
などと冷やかしてしまわないように気をつけましょう。はまっている人は、誇らしさの裏側に、多くは無自覚にですけど、
「自信がなくてヨーロッパ車にすがっているように見えるんじゃないか」
「根の深い寂しさをヨーロッパ車で紛らわそうとしているように見えるんじゃないか」
といった不安を抱えています。何気ない冷やかしが引き金になって、心の奥の地雷を踏んでしまいかねません。
そこまでややこしい話じゃなくても、はまりっぷりを感心するセリフの裏側に、
「よっぽどヒマなんだな」
「その分、もっと仕事しろよ」
というつぶやきの気配を勝手に察知してしまいがち。
なんせ日頃から感性を阻害しかねない車に乗っているだけに、相手の心の動きに対してもきっと敏感です。仮にカケラも思っていなかったとしても(カケラも思っていないケースは稀ですが)、相手はそう受け取るでしょう。
はまりっぷりに対しては、ひたすら、
「オレも早くはまりたいなあ」
とうらやましがるのが無難であり、相手に対する大人のやさしさ。単なるおためごかしではなく、そのセリフを聞いたときの相手の満足そうな表情を見ることで、大人としての深い喜びも味わえるでしょう。
ヨーロッパ車をきっかけに相手と仲良くなる方法
仮に、ヨーロッパ車の話題をきっかけに相手との距離を縮めたいなら、その場の口先だけではなく、次に顔を合わせたときに、
「あれから、チンクチェントとかMINI CLUBMANとかに試乗してみたよ」
と具体的な実績を話せばバッチリです。
熱く勧めてきた相手が、上司だったり仲良くなりたい異性だったりした場合は、とりあえず勧められたとおりにやってみて、ヨーロッパ車の魔力に魅せられたフリをしましょう。
「乗ってみると面白いですねー。勧めてもらってよかったです」
とまで言っておけば、さらに完璧。たとえ動機が不純でも、それをきっかけにはまってくれればこっちのものだし、信者としてはこの上ない喜びを……おっと、最後に本音が出てしまいました。
曖昧な立場で書いてきましたが、私も何を隠そう、そこそこ熱心にヨーロッパ車を楽しんでいる信者のひとりです。
この記事は、熱く勧めがちな己への自戒をこめたり、自己防衛の伏線を貼ったりしながら書かせていただきました。そんなことを踏まえつつ、それぞれのニーズや好みに応じてお役立ていただければ幸いです。
次回も、引き続きヨーロッパ車をテーマにしてみたいと思います。オフ会の席などでいつも一緒いる人がゴテゴテとネオン管を付け始めた場合の対処法や、自分の318にM3エンブレムを付けたい場合の振る舞い方について考えてみましょう。
■今回のマナー
「ヨーロッパ車信者」が抱える誇らしさと不安――その両方を見逃すべからず
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これは、ダイアモンドオンラインの[「ツイッター信者」にその素晴らしさを熱く語られたときの平和で適当なかわし方]を元にした『ネタ』なので、マジに取らないで下さいねm(_ _)m。
もう、ほとんど文字列置換しただけですが、アチコチでテンプレ化されてるみたいなので(^^;)。
たにやんさん>
いやいや、まだまだ熱い北の大地では頑張って啓蒙活動を続けて頂いて
末代までE34を残して頂ければと、勝手に心の中で応援致しておりますm(_ _)m。
幸いなことに?、私の周りでは本人達を含め「あいつらに付ける薬はもう無い」という共通認識が、家族を含め周辺一帯に浸透しているようです。
なので、今更誰かにって事も無くなってきているというか(^_^;
ゴンさん>
自分がもう降りちゃったので、あまり書き過ぎるとシャレにならんと思い・・・(-_-;)。
「旧いヨーロッパ車信者」については触れられてませんな。。(-_-)