人それぞれ好みはあると思うんですよね。「いいモノ」「よく出来たモノ」「コストパフォーマンスがよいモノ」がイコール「好きなモノ」とは限らない訳で、逆に、ドコがイイのか自分でも論理的に説明できないモノをなぜか毎回選んじゃうという事もあります。今日もジーンズがダメになってきたので買いに行ったのですが、イオンオリジナルブランドとか、880円で売ってるのに、結局10倍程もするリーバイスを買ってしまいました。何なんだ、この値段差は!!という話とは特に関係無く、最近読んだ本の話でも。
「そして二人だけになった」 - 森 博嗣
全長4000メートル、世界最大級の海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊“アンカレイジ”。その内部の《バルブ》と呼ばれる空間に、科学者、医者など6名が集まった。通信システムが破壊され、「完全密室」と化した《バルブ》内で起こる連続殺人!最後に残ったのは、盲目の天才科学者と彼のアシスタントだった。
物語は学者とアシスタントの一人称語りが交互に展開されます。しかし、実は二人とも影武者で、かつお互い相手が偽者である事に気付いていません。そして閉鎖された中で連続殺人が発生。二人が残ったんですから自分で無いのなら犯人はおのずと・・・?
この本のジャンルは果たして「ミステリー」なんでしょうか?確かに、密室殺人であり、そのトリックも、動機も最終的には(一応)矛盾無く説明されますが、最終的には「殺人」も「動機」も、『そんな事はどうでもいい事なのだ』と説明され、それはそれで納得しなくもないのです。でも、この手の話だと、いつもなら最初からもう一回読み直すところなのですが、脱力してそのまま本棚に納めてしまいました。
各章の最初に相対性理論が引用されたりもする通り、「事実」も「真実」でさえも全てはどの視点からどのように見るかによって変わって来る、という事をメインテーマに据えているのだと思いますが・・・どう評価したもんかと思いながら巻末の解説を読んでいると、ピッタリな言葉が出て来ました。この話は良く出来ています。物語的な矛盾も結局は回収されます。でも、非常に、『アンフェア』だと思いました。
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